「ハナビラタケの可能性」小澤博樹
このキノコが病気に効くのかは、私にはよくわからない。でも、幻のキノコといわれ、熊などの野生動物が大昔から、その自然治癒力をかぎつけて食べてきたといわれる。何故、幻のキノコといわれるのか。標高1000メートル以上の高山に、夏に生え秋にはもう姿を消すそうである。だから人の目にはなかなか触れにくい、しかも野生動物がその味と力を知っていて、人が見つける前に食べてしまうのではないかとも言われる。ハナビラタケは、他のキノコが嫌がって近寄らない、カラマツなどの強い松ヤニをものともせず、その木の栄養を食べて育つ、針葉樹に特異的につくキノコであるらしい。針葉樹は広葉樹より古い時代からあり、ハナビラタケは二億二千年前~六千五百万年前から存在する、太古のキノコの一つだと考えられている。そしてなんといっても魅力的なのが、食べるとめちゃくちゃ美味いらしい。
良薬口に苦しなどと言われるが、これは体に良く、しかもすこぶる美味いという、幻のような話である。是非一度味わってみたいものである。たぶん可能性として、縄文人などの山の民が、その恵みを食べていたのではないかと想像される。医食同源という思想も、こういった食物を源に持つからなのかもしれない。一部のレストランでは、その料理が食べられるらしい。
そして、そのハナビラタケの人工栽培に挑戦し、成功した人の話になる。しかし、とてもデリケートなキノコである為、スーパーで売られるほどの大量生産は難しく、乾燥粉末の健康食品として売られている。そして、その研究分析の過程においてさまざまな、効果がわかってきた。その最大の効果が、免疫力をアップさせる、免疫賦活作用である。ここまでは実験で確かめられている。そして著者の小澤医師が、臨床の現場をリポートととして書いている。
この夢のような話が総て正しいとは思わないが、ある種の真実を含んでいることは確かな気がする。こういった幻想を総て切り捨ててしまうのはもったい ない。幻想の位相を変えれば、またこれもありえる話である。幻想は果てがない。
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