副題は、躁鬱病をぶっとばせ。はじめは退屈だったが、読み進めるうちにだんだんラリッテクルような小説だ。クレージーだ。狂った疾走感のような感覚。とてもアメリカっぽい。正常と異常の境界とは何だろうと考える。一昔前の、アウトサイダーの物語とはやはり違う。時間の流れが速い。大量のドラッグ(躁鬱病の治療薬)漬の身体。精神の崩壊、それはこの時代では簡単に起こりうるであろう恐怖。常に、どこか近くに狂気がちらついているのかもしれない。それは他人事ではない。共同体(国家)の幻想が、ぎしぎしと歪み歪んでいくことの顕われを、ドラッグでなんとかできるとは思えない。そんな幻想は危険でさえあると思う。だからといって解決策があるわけではない。それは進化の時なのか。はたして。
ブゴウスキーのような世界の方が、私にはしっくりくるような気がするし好きだ。夢想は尽きない。
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