1960年代のアメリカ(ニューヨーク)を舞台に、少年時代を生きぬいた著者の13歳から16歳までの日記。当時コンピューターが普及していれば、ブログという形で世に出たのかもしれない。著者は1950年ニューヨーク生まれ、詩人でロックン・ローラー。1967年にこの日記がはじめて雑誌に掲載されたとき、ジャック・ケルアック(ビート・ジェネレーションの代表的作家)は次のような賛辞を送った。「わずか13歳で、今の文壇で活躍している89%以上の作家たちよりも質の高い散文を書いている」。またジャンキーとして人生を生きた作家ウィリアム・バロウズも「彼の持っている作家としての素晴らしい資質は、まさに天性のものである」と賞賛した。そして著者は「ぼくの日記の中には偉大なヒーローがいる。それは、ほんとうにクレイジーなこのニューヨークの街さ」。
当時のニューヨークの街の気配が、瑞々しい文章で鮮やかに甦る。だから決して古臭くは感じない。内容はドラッグの話が中心なのだが、そこに暗さはあまり感じない。なんか詩人としての透徹した感性が、自己を常にみつめている。そして当時のニューヨークの街が持っていたエネルギーが封印されていて、それが微かにたちのぼる。通勤電車の中で気軽に読める一冊です。あと訳文も非常に読みやすくてとてもいい。あまり期待していなかったが一気に読んでしまった。おすすめです。
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