先日行われたドリーム6をテレビ観戦した。格闘技を観るのが好きなので、今回も楽しめたのではあるが突き抜けない。正直言って、心から熱くなれる試合がないのだ。そこそこ、ドリームにもキャラクターが揃ってきて、いろいろな個性があるのはいい。でも、格闘技界全体が、どこか地盤沈下してきていることは拭えない。いくら話題を創ろうとしても、肝心の試合がつまらなかったら話にならないのではないか。確かに興業として客を呼ばなければならないのはわかる。でもたぶん、今までのような大会場でやるようなスタイルが、そろそろ限界なのではないだろうか。もともと格闘技はマニアックな世界であり、一時のブームが過ぎ去れば、そんなに騒がれるものではない。もはや此度の栄光の時代は過ぎたかに見える。それはスターが涸渇して、なんかスケールが小さくなったことからも窺える。
最近の総合格闘技を観ていて思うのは、噛み合わない試合が多いことだ。勝負を最優先するならば、相手の得意分野に付き合わないのが最短の近道である。それが同じなら技の攻防が味わえるが、現状はそうでもない。それは、総合格闘技と謳っていても、選手の得意分野が、打撃か寝技のどちらかに偏っていて、両方のスペシャリストなどほとんどいないのが現状だからだ。そうなると限定した分野で闘う、ボクシングやキックボクシングの方が、スリリングな技術の攻防が楽しめ面白いということになる。どうやって自分の得意分野に相手を曳きこむかという緊迫感を味わうのは、総合格闘技の楽しみの一つではあるだろう。だが、このままでは、行き詰るような気がしてならない。プロとして試合で、もう少し観客との関係を思索し表現する視野をもった選手が増えて欲しいと思う。総合格闘技とは何なのか。強さを追求するだけの戦いであるならば、観客に見せる必要などない。観客はそれぞれの勝負の結果を超えた、何か得体の知れない、向こう側にあるものを垣間見る一瞬を待ち望んでいるのかもしれない。夢想は尽きない。
コメント