OLD CORTEZ
一見何の変哲もないただのスニ-カ-。NIKEのコルテッツという最初期のランニングシュウズ。ここに紹介するのは、1988年製のデットストック。コルテッツは安っぽいイメ-ジがあり、現在あまり日の目を見ていない。確かに現行のコルテッツは、定価も安くレザ-の質もあまり良くない。普通の人が見ればどちらも変わらぬただの靴に見え、好きな人が見ればその美しさは一目瞭然。その違いは何なのだろう。技術は進歩しているはずだだから、昔よりいい物ができるはずなのに。思い入れを抜きにしても、物としての存在感がはっきり違う様に思う。昔と今ではレザ-の質が違うといっても、そんなの何とかなりそうでいまいち納得がいかない。もっと根本的な問題で、物自体に生命(魂)が宿っていないからなのではないか。現行の物も、物として全体が統一されているので、そこになんらかの意思が働いてはいる。しかし物を作るという態度が、昔と今では変わってきているのだと思う。物を造るのは神聖な仕事で、職人が生命を吹きこんだ。確かにもうそういう時代じゃない、大量に生産し大量に消費するというシステムは暴走し、さらなる過剰を生み出しそれを破壊する為に戦争を起こす。完全にシステムに支配された世界で、物を造る意味はなんなのであろうか。
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