アンフォルメル展にいった。まさしく“アンフォルメルとは何か”が表しているようになかなか理解に苦しむのだろう。タダの1つの絵画の形式である。形式であるとは、そこに一つ以上の価値が存在しており、そこに思想的な存在感が表されてしかるべきであると考えるのが普通であるのだろう。しかし、絵というものは、とても理解をするのに大きな困難/制約をもつ。一つに3次元のものを、しいて言えば4次元のものを2次元のなかに存在させようとするのである。また、そこに描かれている“こと”に人の感情が存在するのである。それは言語と同じで(ウィトゲンシュタインの哲学と同じでそれは線の集まりでしかないのかもしれない)あるのかもしれない。
詳しく見ていくと多くのこれまでの絵画の歴史により影響を受けている。まずは、ピカソ、それならば、古代人の絵画、シュール。ダダ。人の感情を表すには、時間の停止が必要だ。それは、私達の知りえない時間のなかに絵画をもっていくのが一番分かりやすい。それは、昔。昔も物語。そんな絵がアンフォルメルである。
また、次元を越え、思想を表に出すために、精神/心を固まりとして表す。そこには固まりでしかない、絵の具の山、線が存在するのだが、なぜか私達の心に混沌とする重さ(題名の重さも手伝って)を表すのである。これは経験して感じるものであり、その意義は知識のなかの絵画であるのだろう。そんなものもアンフォルメルであるのであろう。
そして、本物を見る。それが時には絵画を理解するのはもっとも簡単な方法であると教えてくれる。そんな絵達である。
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絵画の存在感は、個人的なものではあるのだろうが、私としてはこの絵が一番欲しいものである。
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人質 という題である。戦後の暗さ/人々への影響/
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