運命とは、はかないものであり、しかし、大切なものである。先日も阿久津と話している中で、私の人生は一度目で、決して、二度目三度目の記憶はない、ならば、一度目の人生を楽しく、大切に生きなければならないなどと、話したのである。しかし、それ以上に人生とは、はかないものであるのか?などとイリアスを読んでいると思うのである。
イリアスとはホメロスが書いたと言われる叙事詩である。しかし、ホメロスは彼の時代までに伝えられる物語を、纏め上げ一つの読み物にしたのであろう。日本で言うと平家物語の琵琶法師である。もう少し、わかりやすく言うと、バカボンドの又八である。(平家物語を読むのは時間がかかるがバカボンドならば、マンガなので読みやすい。)イリアスは、それまでの神話の集大成。もしくは、紀元前前の人の考えていた、経験してきた、人生の集大成なのかもしれない。
ゼウスは神の中の王様である。彼は人々の人生を、またはギリシャの神々は、人の人生を決めていく。ゼウスに愛される?ヘクトルを英雄として扱い、アカイア勢を攻める。しかし、彼も彼自身の人生の短さを知っており、その彼を撃つアキレウスも、もちろん、彼の人生の短さを知るのである。人生とはすでに決まっており何をしても同じでありーーー。私自身を考えると、どこまでいっても同じでありーーー悲しくて人生の色が青く溶けていくである。
不思議な少年を読むと同じような感じに襲われた、高校時代。しかし、高校時代の私は人生とは何か?もわからず、もちろん今でもわからないが、しかし、時間は偉大であり少しは自分の考えも生まれ、もちろんそれが正しいかどうかもわからず、人生の儚さと、わからないことがわかるという人生のすばらしさに涙するのである。いつかは、死ぬであろう、自分のことを思い、吉田兼好の徒然草を想い、そして、今日の空の色を確認し、母の足はどうなるのか?父のボケは、薬のためか、それとも痴呆か?
人は原点に戻っていくのである。すべての物語には終わりがあり、生きとし生きているものはすべて滅びる。宇宙でさえも。人生とは決まっているのだろうか?
コメント