蝉の鳴き声も、だんだん少なくなってきた。気温も一気に下がり過ごしやすい。何故かはわからないが、今年は例年の2倍ぐらいの数の蝉が、その鳴き声を競ったそうである。蝉という昆虫は、まだまだ研究が進んでいない種類の一つで、謎が多い。確かに、あれだけでかい音を絶えず発する生命体は、他にはほとんどいないのではないだろうか。我々日本人は、蝉の声を聞きなれている。しかし、蝉の生息しない地域の人は、なんで木が鳴いているのか不思議に思うそうである。イソップの「ありときりぎりす」の話は、オリジナルでは「ありとせみ」の話だった。ヨーロッパにはあまり蝉がいないのか、メジャーではない蝉をやめて、わかりやすいきりぎりすに置き換えた、その版が翻訳として日本に伝わったらしい。
確かに、いわれてみれば、蝉が多かったようにも感じる。種類によって、その声というかフレーズがまったく異なっているのも不思議である。蝉の声は、我々の記憶の深いところに刷り込まれた、忘れられない音なのかもしれない。蝉の音は鳴り止まず、妄想も尽きない。蝉は食える、抜け殻は漢方薬でもある。
「ここで泊ろうつくつくぼうし」 種田山頭火
最近のコメント