高橋克彦は、盛岡に住む作家である。盛岡は、今まで私が訪れた日本の都市の中で、一番気に入っている。日本で旅をしようと思うと、私はどうしても東北に行きたくなる。血が呼ばれるのだろうか。なにか、なじむような、懐かしいような、そんな感じがする。そのなかでも、盛岡はお気に入りである。暮らしてみたいと思う気持ちもあるが、どうなるかはわからない。我々が習った日本の歴史の裏側には、まだまだ隠され切り捨てられた部分がある。東北地方は、古代、一つの王国であったし、大和日本とは別の独立した国家であったはずである。そんな、東北のこだわりを高橋氏は持っていて、それが作品のなかで昇華されていく。この作品は、からくり人形の歴史の謎に挑戦する。人形の歴史は奥が深い。古代から現代に至るまで、人と共に在る存在なのだから。そこには言葉ではない、いろんなやりとりが、埋もれているのではないだろうか。夢想は尽きない。
四谷シモンという人形作家も興味深い。気になる存在である。
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