久しぶりに、大山倍達の著書を読んだ。やはり面白い。極真空手のイメージ(幻想)を壮大に創りあげたのが、彼の生き様の凄みであった。その物語は、何か人の心を捉えて離さない輝きを放っているのである。ロマンといってもいい。その幻想は、「世界中で誰が一番強いのか」という核心に挑んだことである。その思想はいつの世も、人を惹きつけずにはおかない魔力を持つ。現在でもその物語は、各ジャンルに敷衍されている。彼が目指した「宮本武蔵」の生き様。道を究めるという失われつつある価値観。近代社会から弾き出された諸々の血脈。武士道とはまた、窮めて宗教的であるともいえる。極真空手には、現代失われてしまった何か「凄く大事なもの」の存在を気づかせられる、郷愁があるのかもしれない。夢想は尽きない。
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