暇があったのでビデオを観る。三池監督の1998年作品。なかなか良かった。ブルース・ハープを吹く男とやくざの話。これはがちがちのやくざ物というより、破滅に向かう若者のエネルギーを描いた作品。作品の冒頭とラストにセピア色の画面で、まっすぐな田舎道がはるか海へと繋がっているかのようなシーンがある。印象に残る。救いの無い、滅びていく話なのではあるが、ラストのそのシーンで少しほっとする。夢見てそれが適うお伽話ではなく、夢見て現実に飲み込まれ、どうしようもなく破滅に導かれていく。人生。主人公のやくざが、ハープ吹きに抱く同姓愛的感情もさらりと描かれていて、どろどろして重たいところの無い爽やかな後味に仕上がっている。舞台となるライブハウスのマスターを演じるミッキー・カーチスが、客退け後、一人ギターをつま弾くシーンは渋い。傑作というよりは佳品。三池崇史の他の作品にも、興味を惹かれる。夢想は尽きない。
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