まだ引退していないんだと、ちょっとびっくりした。彼は本物のプロボクサーであり、リングで表現するおっきな塊をもっていた。だから過去、あれだけの熱狂を生むことができたのだ。彼は既に38歳。しかも、網膜剥離を患い、日本でのライセンスはもう認められていない。日本で試合をすることができないのだ。過去あれだけの栄光を掴んだのに、まだ燃え残った何かがあるのであろうか。本気で「もう一度世界チャンピオンになる」というつもりなのか。お金の為だなどと陰口を叩かれているが、そんな理由で、失明するかもしれない恐怖と闘うことができるのか。そんなちゃちなことではありえない。彼の本性が「闘うヒト」であり、他の些事より「総てにおいて、リングに立つことが優先する」、それが他のボクサーと彼を分かつ、非凡なる部分だと思う。「死すときは斬られて死にたい」。そんな、侍の心意気のようでもある。夢想は尽きない。
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