久しぶりに、面白い映画に当たった。安い中古ビデオを買い集めた中から、たまたま何気なくその映画を観た。なんの知識も無かったのであるが、これがとんだ傑作であった。1997年製作のカナダ映画。いわゆるハリウッドものではなく、低予算映画である。ストーリーは単純。だがその世界は示唆に富む。閉塞した異様な世界と、その映像・音にぐいぐい引っ張り込まれていき、あたかも自分がその世界に閉じ込められているかのような息苦しさを覚える。こんな感覚は映画でしか、うまく表現できないのではないだろうか。そして謎を観客にゆだねることによって、余韻を引き摺り、深みを残すことに成功している。こんな方法で世界を表現できるのか、「やられた」と思わせる凄みある映画である。考えれば考えるほど、答えは無い。深みに嵌っていく。言葉にすると陳腐になるものどもを、感覚的に表現しえた奇跡的な作品。観て損はない、お薦め映画。幻想は果てしがない。
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