「深紅」 野沢 尚
この作家も初めて読んだ。今まで、気にもとめていなかったのだが、解説で高橋克彦が奇跡的傑作と断言しているではないか。そして読み始めると、どんどん嵌っていく。その深い闇に。どうしようもなく背負わされた、深い闇の心の世界に、惹き込まれていく。ありえない世界、異次元の空間に潜りこめるのは、本を読む楽しみである。そしてその世界は別の次元に存在する宇宙なのである。闇と闇の出会いが生み出すもの。狂気。ヒトはみな、どうしようもなく心に闇を抱えて生きている存在である。もはやこれは、味わってもらうしかない。この物語は生きている。夢想は尽きない。2000年の作品。
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