新日本プロレスIWGPタイトル戦
プロレスでしか表現できない世界がそこにあった。真壁の言う「非日常」の空間、これこそがプロレスでしか味わえない醍醐味である。プロレスにはルールがあって、ルールがない。反則は3秒以内はOK、又はレフェリーが見ていなかったりした場合も許される。これがプロレスをプロレスたらしめる、最も興味深いところだ。存在そのものが他の格闘技とは違う、その闇の深さが違うのである。プロレスはより哲学的世界なのだ。そのなかでは、善と悪、光と闇、あらゆる感情もを飲み込んで、リングの戦いを通してその宇宙を透かし見せる。
プロレスは表現力の勝負でもある。相手があるので、いつもいい試合になるとは限らない。その二つ(シングルマッチの場合)の力がうまく噛みあった時に、他では滅多に感じることのできない物凄いエネルギーを放出する。この試合は一線を越えた。血みどろの世界で二人が表現したかったものとは。永田があそこまでえぐい攻撃をしたのは、真壁の日常を破壊する力がそうさせたといえなくもない。最近のプロレスに刺激がないのは、本物のヒールがいないからだ。真壁は久々に登場したヒールらしいヒール(凄みのあるヒール)である。悪役のいない(弱い)ジャンルは面白くない。存在とは。プロレスについて考えることは面白い。そして夢想も尽きない。
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