2001年の作品。この人の映画を観るのは初めてだったが、なかなか面白かった。格闘技の世界に生きる男達の物語。飾らない作品である。しかし観終わった後、なにかしっくりこない気持ちが残った。主人公のアンチェイン梶というボクサーの生き様が、うまく伝わってこない気がしたのだ。勝負の世界に生きる者達の陶酔と残酷。リングの中では、簡単に思いや感情が打ち壊されていく。しかし何度も何度も打ち壊されてもリングに向かい、一瞬の光を求めてさまよい続ける、器用さとは無縁の男達の叫びが悲痛であり、せつない気持ちにさせられる。
格闘家の人生を、変わった角度から切り取った、情念のある映画。この監督の底に流れるのは、暗い情念のような気がする。夢想は尽きない。
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