三池崇史監督で1995年の作品。以前観た「新・仁義の墓場」ほどの衝撃力は無いものの、面白い映像に仕上がっていると感じた。ストーリー自体はたいした内容ではないのだが、そこに独特の世界が存在する。それが美しいのだ。だからついつい最後まで、引っ張られるように見入ってしまう。使っている俳優が、またそれぞれいい味を醸しだしている。
この人の作品が素晴らしいのは、仮面や幻想に支配されない、ヒトの本質に真っ向から向かってゆく意志であろう。綺麗事では無い世界なのだ。ヒトの持つ暴力という根源的な力。だれしもが持ち、まさしくヒトの背負った業を、ヒューマニズムなどという偽善を拒否して冷徹に見据える。ヒトは光も闇も抱え込んで、生きざるおえない奇妙な生き物なのだから。夢想は尽きない。
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