今村昌平に捧ぐ~スコセッシが語るその映像哲学~
先日、NHK教育で放送されたETV特集を観た。本来映画をあまり観ない私だが、何故か気になり録画した。番組の内容としては、今村監督を師と仰ぐマーティン・スコセッシ監督と今村作品ゆかりの俳優が、今村監督のそれぞれの作品について思いを語るというもの。正直な所、今村昌平にあまり関心は無かったし、作品もあまり観た記憶がない。スコセッシにしても「タクシー・ドライバー」ぐらいしか思い浮かばない。私はほんとに、極たまにしか映画を観ない人間なのだ。好きな映画はもちろんあるが、本を読む行為と違って押し付けられるというか、自分のペースで思考できないので苦痛だ。おまけに目が悪いので字幕がよく読み取れなくていらいらする。途中で止めて何か考えに耽ったり、煙草を吸ったり、酒を飲んだり、もちろん映画館では出来ないし、部屋でビデオを観る時でさえ、その映画のリズムが壊れ間の抜けたものになってしまう気がする。
基本的には、やくざ映画、マフィア映画等の、どうにもならない場所でそれでもなお人生を受け入れ生きざる負えない人の哀しみと強さが美しく描かれているものは好きだ。
今村作品にはそんな匂いがする。今村監督は小津安二郎監督に「そんな蛆虫みたいな人物ばっかりの作品は止めろ」といわれ、「決定。死ぬまで撮り続ける」と決めたらしい。「楢山節考」でカンヌ国際映画祭グランプリを受賞するまで飯が食えなかったとも。売れそうな作品を作るということはせず、自分の信念に忠実に最後まで戦い続けた男の作品を、味わってみたいと思った。
運命とは不思議なものだ。思いがけない所から導かれる様に出合ってしまう。果たして出合わされているのか。
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