adidasの1988年制デッドストック、STATUS Ⅰ HIの登場です。残念ながらソールが加水分解してしまっているのでもう履くことはできない。もう眺めるしか使い道がないので、ブログを書きながらただぼーっと今眺めている。重戦車の様な存在感、実際持ってみてもかなりの重量がある。個人的に、1980年代後期に発売された、ごちゃごちゃしたデザインのスニーカー達が好きだ。まだシンプルさを残しながらもハイテク要素が入り込み、奇妙なバランス感が感じられる。ロボットの足とでもいおうか。
adidasのスニーカーを眺めていていつも感じるのは、今のものと、昔のものとの落差が一番激しい。作られた時代によって全く別物に見える(感じる)のだ。見た目のシルエットの印象が、過去の記憶と結びつかない。えっ、これってこんな靴だったっけ、というのもたびたびある。メイドインフランス(ヨーロッパ)のアディダスに触れて生きてきた人にとって、違和感と疑問は付きまとう。過去、昔のアディダスを求めて、アメリカの靴屋や倉庫にもぐりこんだ経験がそうさせているのかもしれない。しかし見つけた時の感動は、探した人にしか分からない特別の恩寵だ。神の巡り合わせ。みえざる者への感謝。限られた時間のなかで目的を達成した安堵感。
一時期スニーカーを探す事が宝探しだった時代がある。それこそ様々な国に、日本人の一匹狼(組織に属していない)のバイヤーが一攫千金を求めて飛び回り、とんでもない国から宝(スニーカー)を見つけ出し、富を築いた男達は実在する。チャプター初期、そんなとんでもない男達との出会いと交流が、チャプターの血肉の一部に刻み込まれている。楽しい時代であった。
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