「白痴」 坂口安吾 を読んで
坂口安吾は好きな作家である。作品がどうこうというレベルではなく、透徹した視線というか、存在を見つめる視線の位置、対象をみさげないで共感して入っていく。とくに小説よりもエッセーの方にその真髄が表れていて、私は好きだ。この小説に関してはそこまで凄いとは思わなかった。この小説は観念的で美しいとはいえない。おもしろいとは思うが、真の感動がないのだ。でも心に沁みついている作品もある。本物の作品は心から剥がれず、記憶の中で風化しない。安吾は様々なジャンルの作品を残した。推理、時代、巷談等、興味のある分野から読むのがいい。なかにはとんでもない当たりが潜んでいる。個人的には、社会の底辺にいる人々を描写した作品が好きだ。後、戦後の闇市の雰囲気を味わうのもいい。夜鷹(売春婦)を描いた作品、題名は忘れてしまったが、凄さに涙がでた。 現在絶版で一部の作品しか手に入らない。しかし先日紹介した山形浩生氏がプロジェクトするウェブサイト「青空文庫」で無償で読める事を知った。http;//www.aozora.gr.jp/で読めます。でも本物の本で読みたい、正直、本を愛する者としては。
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