これは、ちょっと見に言ってみたい。芸術とは何か。表現とは。それはやむにやまれぬ希求なのでは。16億のフィギュア。いや、もっとぎりぎりの場所。それは魂が感応する深淵。はたして。夢想は尽きない。
アウトサイダー・アートとは
「芸術はわれわれが用意した寝床に身を横たえに来たりはしない。芸術は、その名を口にしたとたん逃げ去ってしまうもので、匿名であることを好む。芸術の最良の瞬間は、その名を忘れたときである。」芸術家ジャン・デュビュッフェの言葉は、アール・ブリュットの概念を総括する根幹としてとらえることができる。アール・ブリュットの作者たちは、あらゆる文化的な操作や社会的な適応主義から自由なのだ。彼らは精神病院の患者、孤独に生きる者、社会不適応者、受刑者、あらゆる種類のアウトサイダーたちなのである。
これらの人々は、沈黙と秘密そして孤独の中、独学で創造活動を行っている。いっさいの伝統に無知であることが、彼らをして創造性にあふれ、破壊的な作品制作を可能にしているのだ。ジャン・デュビュッフェいわく、「われわれが目の当たりにするのは、作者の衝動のみにつきうごかされ、まったく純粋で生の作者によって、あらゆる局面の全体において新たな価値を見いだされた芸術活動なのだ」。ジャン・デュビュッフェはアール・ブリュットという概念の提唱者であるのみならず、アール・ブリュット・コレクションの創始者でもある。1971年、デュビュッフェは、当時すでに5000点を超えていたコレクションをローザンヌ市に寄贈したのである。これをうけ、世界にも例をみないユニークな収蔵館が1976年、18世紀の貴族の邸宅「ボーリュウ館」を改修して誕生した。
現在、収蔵作品は3.5万点におよび世界中から年間約45000人の観覧者が訪れている。
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